EPISO renovation project その⑤ 小上がりソファ編

EPISO renovation project その⑤ 小上がりソファ編

Mar 21、2026岩﨑敬太

 

予想以上に時間がかかったリノベーションプロジェクトも完成が見えてきました。



今回はソファをDIYしたのでご紹介します。



まさに売るほどソファのある家具屋なのになぜわざわざ自作ソファを?と思われる方もいらっしゃるかと思います。



答えは「家具と建築の間を狙いたかったから」今回は4.5畳+ロフトという狭小スペースの改装なんですが家具の顔をしたアイテムを詰め込んだような感じにしたくなかったんです。小さいながらも余白のある静けさを作りたい、という事でソファだと主張が強くなる気がしました。



でも個室ですからリラックスしてゴロンとできるスペースも欲しい、という思いも有ります。そこでソファと小上がりの間みたいな物を作る事に。



どうしたら小上がり感が出るのかなと考えたのですが、



①なるべくフラットなデザイン
②縁側的な要素がある 



この2点でいけるかなと。普通のソファはクッションがフレームよりも前に突き出ているのですがあえてセットバック。



このままではふくらはぎが木にあたってしまうので脚は低めにしました。フレームも下駄型とし、内装の直線類に同化させて主張を消すというコンセプトとしました。



カバーはちょっとずれやすいのはマイナスポイントですが洗って縮んでもセットが容易なベッドのボックスシーツ式を採用してリネンで製作しました。



フレームの横幅もマット幅よりも伸ばしてサイドテーブル代わりに。クッションを落とし込めば180cm程度になるので来客の際の簡易ベッドとしても使えます。


フレームについてはホームセンターで木をカットしてもらえばあとはボンドとビス留めで作れると思います。

 

コストを抑える秘訣はマットに隠れる部分はすのこ状にすること。使用する木材を2/3程度に抑えることができます。

 

また、ジャパンディっぽいテイストを目指すのであれば、なるべくノイズが少ない方が似合いますので節のある樹種は避けた方がベター。日本的なスタイルですが節のある杉や末などはラフな雰囲気になってしまい、繊細さが出せません。今回は米栂という木目が薄い木を使いました。あえて塗装も無しで家具というよりは建具っぽい仕上がりとしています。

 

マットは布団の下に敷く三つ折りウレタンマットにカバーをかければ代用できそうですね(もう少し厚みのあるほうが宜しければEPISOでソファクッションだけお作りする事も可能です。)



流石に本来EPISOが販売するソファほどの座り心地には到底及びませんが今回はそんなに長時間座るスペースでもなかったのでこのような設計としました。



空間の用途やコンセプトによっては先入観なく考えても良いのではないか、という事例でした。

 

また、せっかくの機会なので、今回のプロジェクトで意識しているジャパンディスタイルの要素やテクニックをいくつか挙げてみます。

 

〇色はクレイトーンで揃える

クレイトーンは一言でいうなら、くすんだ淡い色。且つ白系、トープ系、ベージュ系を中心に。グレーは多すぎるとジャパンディ特有の柔らかい印象が少なくなっていくので注意です。アクセント色は基本無し、というのが直球ジャパンディですがそうもいかないと思いますので入れるなら強すぎないバーガンディや淡いグリーンなどが良いと思います。

 

〇金属は視線を集める部分にはなるべく使わない

本来のジャパンディスタイルは金属をほとんど使いません。特にシルバー系は合わないように思いますので窓のアルミサッシュなどはプリーツスクリーンなどで上手にカバーして下さい。ただどうしても金属じゃないと強度が持たない部分などはあると思います。その場合は真鍮色か銅色ならいいんじゃないかと思います。

 

〇線と面のバランスが重要

線は細めを意識。ただし円や四角い平面などふくよかさや質実剛健な要素もバランス良く作る。このバランスが難しい。。。この辺りはうまく言語化できていないのでまた考えてみたいと思います。

 

〇視界を絵画と捉え余白を散らす

白ベージュ系のインテリアで小物を多く飾ると韓国インテリア寄りになるのでついついあれもこれもと飾っていくとジャパンディから離れていきます。韓国系なのかジャパンディ系なのかは最初に明確に定めてプランニングしてください。

 

日本庭園のように作為の無さと余白を作ることがジャパンディの決め手の1つ。大きい家具は低めで揃え、中段、高段エリアにアートや照明、植物を配してスカスカになりすぎないように、それでいて色味は抑えてうるさくないようにという意識でアイテム選びをします。

 

日本庭園では「捨て石」という造園技術があります。ここにこう置く!という石ばかりではなく、なんならぽいっと石を投げて場所や向きを決めるという自然が作り出した美しさを求めるという手法です。ジャパンディも部屋を風景と見立てるならば、家具の配置もきっちりさせるところ、あえてずらすところなどを作れるとより良いと思います。

 

ソファのきっちり中央にローテーブルは無くてもいいと思いますし、ラウンドテーブルとイスが床に対して斜め方向に置いてある、などはOK。

 

ただし以前の記事でも言及したようにソファが壁に収まりきらずにドアに掛かっている、などは意図していないサイズ選びのミスにしか見えないので良くはないと思います。

 

また、自然な余白が大事ということは本来、今回のような狭い部屋だと難易度の上がるスタイルです。今回は直球のジャパンディスタイルを貫くのは難しいとプラン段階で判断して、オレンジ寄りのコーラルピンク、石材で青っぽい色味を足したり、ドライフラワーのアンティーク感+ガラスベースの艶感、金属の真鍮色を多めに使う、などで敢えて外しています。(全体の様子はまた完成品でお届けしますね)

 

〇黒は慎重に

TVなどインテリアに黒はつきものなのですがジャパンディにおける黒は最小限に。そしてできることなら水墨画の一筆のように細いラインとして使う。たとえば美しいペンダントランプのコードが黒、植物の細い枝が後ろから日を受けて黒っぽく見えるなど。

 

ジャパンディでの黒は空間をたった1手で印象を変えてしまう色と考えています。なので最近の大きいモニターのTVはジャパンディの天敵と言えます。置くなとは言えませんので置き場所を考えましょう。一番美しいと思えるエリアの視線の真正面にはTVを置かないような工夫をしてみると良いと思います。

 

ただしそれによって大好きなTVが見にくい、というのは本末転倒です。暮らしが楽しくなければ美しいインテリアに意味も価値もありません。TV中心の生活を想定するならばジャパンディはハードルが高いと最初から認識した方が無難です。そもそも静寂感のあるインテリアスタイルの中心に派手なバラエティ番組の様子が映し出されて似合うわけもありません。

 

家具屋勤務でもない限り「こだわった空間にバラエティ映像が映し出されていたら嫌」なんてどう考えても共感は得られないだろうとは思いますので、そこは折衷案でいいとは思いますがネットや雑誌に出てくるような美しさ100%の空間にならないのは当たり前の前提条件として部屋作りに向き合った方が良いとは思います。

 

ちなみに我が家のリビングに十数年TVはありません。(インテリアのスタイルはジャパンディではなく、北欧ヴィンテージとモダンのミックススタイル)子供もいますし家族にはTVを置きたいと要望されていますが頑なにTV無し生活を保っています。インテリア狂いの僕と普通にTVを見たい家族、どちらが折れるべきかはは一目瞭然ですよね 。その代わりと言ってはなんですがTVを見る代わりに食事中の会話などは多いのではないかと思いますし、TVが無いので子供と一緒にリビングで勉強会をしたりする機会はよくあります。

 

もちろんTVをいい感じに置くためのテクニックもありますし、家族の時間と一人の時間、両立するインテリアを考えるべきですが、しっかりめのジャパンディスタイルにおいてTVをリビングの主役にするのは難しいかな、という事です。

 

〇不完全なものを入れる

ジャパンディはミニマルスタイルの一種と言えますが、きっちりかっちりした家具ばかりで揃えるとジャパンディスタイルの柔らかな雰囲気が失われていきます。

 

もう少し工藝的な要素を入れるとより日本や北欧の物作りの精神が息づいた生活のためのリラックス感のある空間になります。

 

円形の物を入れるのは言わずもがな、不揃いなパイルのカーペットや繊細ながらも手仕事を感じる造形の花瓶、むら感のある生地のクッションカバーなどを取り入れてみてください。なるべく自然素材のものを使って色は控えめ、素材感は強めで揃えていくのがポイントになるかと思います。

 

ご参考になれば幸いです。

 

More articles