EPISO renovation project その③ プランニング編

EPISO renovation project その③ プランニング編

Mar 15、2026岩﨑敬太

 

EPISOの小部屋リノベーションプロジェクト、今回で第3回目となりました。

 

今日はこのプロジェクトに限らず、インテリアコーディネートをする際にどのような点に気を付けているかをご紹介します。

 

ポイントは様々あるのですが、基本的でありながら意外と抜けがちなところを解説しま

す。

 

point.1 バランスの良い配置

 

家具ってやはり用途がある物なので、テーブルだったり収納家具だったりランプだったりとりあえず必要な物はないといけない。もともと持っていて手放す予定のない家財類も該当します。それらは外すことができないので一旦適切な位置(動線がスムーズな位置)に配置してみます。

 

すると、窓際のリビングスペースはソファ、テーブル、ラグ、収納家具、植物と賑やかなのにダイニングは四角い天板、4本足の平面的な普通のテーブルにシンプルな椅子4脚のみ、とボリューム感に差が出たります。

 

まずはこのボリューム差を足し算したり引き算したりしてざっくり調整。どんな使い方をする部屋なのかも具体的に想像しながら、何が追加で必要で、何を手放した方が望ましいのかを見極めます。この時に気を付けたいのが部屋を風景として捉えるという感覚です。

 

例えば風景画のキャンバスの隅っこに細かなモチーフがたくさん描かれていて中央や対角などは白紙のままだったとします。アートであればその余白にこそ意味を見出すわけですが部屋はちがいますよね。ただ単にデッドスペースになってしまっていたり何もない一角がなんだかさみしい感じがしたり。逆にものが多い部分は煩雑な生活感を感じることになります。

 

ですので足すところは足す、多すぎるところは引く、という計算をして心地よいと思えるまで全体のボリューム調整をします。その上でバランスの良い余白も大事にする、という所までいければなお良しです。

 

そして大事な点をもう一つ。部屋の風景は1つじゃないという事です。いろんな角度からどう見えるか、を考えます。その時に是非検討していただきたいのは床に適切な距離感を保って家具達が置いてあるか、だけではなく、部屋の高い場所、中くらいの場所、低い場所にバランスよく視線を受け止めるものがあるかどうか、です。

 

シンプルな空間にこだわった家具を置いてみたものの、なんだかそっけない感じがするというかまだ完成していないような寂しい感じがする場合、だいたいこれが原因の場合が多いです。ダイニングからリビングへ移動する時の数秒間、目に入るのはTVの上のただの白い壁だったり、部屋の隅が薄暗くなんだかあか抜けない、そんな感覚になった事は無いでしょうか。

 

ここで何かが足りない、と判断して場所を埋めるために視線の先に空気清浄機をもってきたり、子供の学校の制服など色々掛かっているハンガーラックを持ってくるのはもったいないかなと思います。あくまでも視線を受け止めるのは雰囲気を上げるもの、例えばアートポスターだったりシェードの形状が美しいランプだったり、少し背が高い植物だったり棚に飾ったオブジェだったり。そうやってどの向き、どの高さのレイヤーにもアート性のあるお気に入りの何かがあるような状況を作ってみてください。お部屋の雰囲気ががらりと変わると思います。

 

point.2 同じ機能の物を並べない

 

例えばダイニングとリビングの境目エリアに食器棚と本棚が並んでいたとします。2つは色も違えばサイズも違う、デザインの系統も違うと想像してみてください。なんだかごちゃごちゃしているな、という印象が思い浮かぶのではないでしょうか。

 

ではもう1つ。肘付きの3人掛けソファの横に肘付きの一人掛けのソファが壁に沿って並んである姿を想像した場合はどうでしょう。より多くの人数が座れることはいいことですが、じゃあ最初からもっと大きいソファ1つにすれば良かったのでは・・・?という気持ちになります。

 

このように似たような用途の物で特に異なるデザインやサイズの物が横並びになった場合、とりあえず押し込んだ感というか倉庫感が出ます。家具屋さんに行ったときによく見ると思いますが、ソファや収納家具が同じ向き(または背中合わせ)でずらりと並んでいたりする「平場」という展示方法があります。あれを見て「素敵なインテリアコーディネート!」と感じることはほぼありません。

 

平場はあくまでもたくさんの商品を効率よく見ていただく、1つ1つの商品の魅力にフォーカスする目的であって「こんな風にコーディネートしましょう」を提案している売り場ではありません。平場スタイルを自宅でやればせっかくこだわった空間の質が落ちるのは自明の理というものです。ただし、おもちゃ箱をひっくり返したようなハイボリュームのお部屋スタイルも当然存在しますので所謂シンプルナチュラルなスタイル中心の考え方としてご参考になればと思います。

 

point.3 模様替えに対応できるサイズか

 

ソファとTVボードが特に該当が多いかなと思うのですが、座り心地や見た目にこだわるのは当然として、サイズも1センチ単位までしっかり検証できればより良いお買い物になると思います。

最近の間取りはなるべく廊下を無くして居住スペースを広くとるよう設計されている都合で部屋と部屋を繋ぐドアがリビングに2つ3つあったりします。さらに窓もあったりしますので意外と広い壁が少ない傾向にあります。

 

子育ての都合でのライフスタイルの変化などで、ものが増えるときや減る時に模様替えの必要性がでたりします。また、いざ新居で家具が届いたから設置、という時になってコンセントの位置や日差しの向き、そういえばダイニングセットを予定より大きいサイズにしたんだった、実際置いてみると通路幅がもう少しほしい、など計画段階の見落としでやっぱりソファはこっちかも、となったりするのもあるあるです。

 

その時にサイズの検証が不足していた場合、あと5cm小さければこの壁に収まるのに・・・!みたいなことが起きたりします。

 

また、ダイニングセットの見た目のボリュームに対してソファが小さすぎないか、奥行きを考えると幅はこれぐらいにしておかないと動線の曲がるところでぶつかりやすいぞ、など全体の家具同士のバランスも気になるところ。

 

ですので、平面図(3Dパースがあればなおイメージしやすいです)で色々なレイアウトを試してみてください。すると家具のちょうどいいサイズが見えてきます。

 

その心地よいサイズがそれぞれの家具に適応されると空間の広がりに対しても整ったバランス感が生まれてきて、家具同士が調和し始めます。

 

家具も今や少しこだわるとそれなりの値段になってしまいますので買い替えしないで済む選択ができればそれに越したことはありませんし、収まり感の心地良さはとても大事な要素ですので、ぜひ調和のとれたサイズを目指してみてください。

 

point.4 トーンを合わせる

 

最初にお伝えしたいのは「合わせる」というのは「すべて同じにする」という意味とは少し違います。もちろん同じトーンで揃えるのもいいですが、全てオーダーメイドで製作でもしない限りは都合よく全て揃うというものではありません。多少のブレはOKですし、あえて違うトーンの物を同じ空間に配するならバランスよく散りばめて「バランスを合わせましょう」という事です。

 

また、ここでお伝えしているトーンは大きく2種類。それは発色の度合いと艶の度合いです。発色で言えば柔らかな発色の木製家具の中に1つだけプラスチックのビビットな色が混ざっているとやはり違和感につながりますし、オイル塗装のしっとりとした色合いの家具にギラギラした金属製品が1つだけ混じるのもノイズを感じます。

 

ただし、バランスが取れていれば話は別。例えばオークのオイル仕上げの円形ダイニングテーブルに細身のステンレスで綺麗なラインを描くフレームのの本革張りチェアが4脚、リビングに目を向けると滑らかなオークのフレームを持つソファの横にシンプルで小さなステンレスのシェルフが有って、上にはマットな質感のドライフラワーが飾られている、という風景でしたらしっとり落ち着いた発色の木の家具と艶があってミニマルなステンレスの家具が適度にばらけて配置されていてお互いが引き立てあう効果も相まって素敵だなと思います。

 

混ぜるな危険、とは言いませんが思い付きで混ぜるとバランスを取るために様々なアイテムの追加や相性を考慮する必要が出てきますので軌道修正がかなり難しくなる印象があります。混ぜるならプラン段階から計画的に。

 

point.5 リアルな生活を意識

 

以前も書いたと思いますがこのポイントが個人的にはいつも一番気になる部分です。お客様にご提案する際に高級リゾートホテルのような寸分の隙も無いスタイルを提案するのは正直簡単なのですが、家を建てる、リフォームするといったことはローンなどの都合もありEPISOでは子育て世代の方が大半。子供がどのような行動をするかも分かりませんし新築時のパーフェクトな部屋になるよう片付けを常に強要するのも少々酷というもの。

 

子育てが無くとも、家族で暮らす場合、異なる人間が一緒に暮らすわけですから気になるポイントや細かさも違います。そして専属の片付け清掃スタッフがいらっしゃるご家庭にはまだ出会ったことはありません。そこがホテルと自宅との違いです。

 

どうせならインテリアに拘りたい、特別感のあるものにしたいという気持ちに商業的アプローチでSNSや雑誌、インテリアの画像などが一糸乱れぬイメージを自分事としてインプットさせてしまう傾向は正直どうなんだろう、と思っています。

 

冷静に考えると100点満点のホテルやレストランのような空間を365日保つことは無理だと分かるのですが、ネットを調べれば調べるほど自分にもできそうな気がしてしまいますよね。分かります。建築プランナーさんもお客様の理想の暮らしを実現するために最高の空間をご提供するためにお仕事されていますのでこだわった提案をして下さると思います。ただしその理想の暮らしは年に一度の大掃除の後にしか存在しないイメージになっていないでしょうか。

 

人それぞれなのでこの考えが正しいというつもりは全くありませんが、あくまでもお部屋を美しく保つ緊張感は無理の無い範囲で、日常に軸足を置いた暮らしをイメージできると自分らしい空間が作れるのではないかと思います。

 

さて、ずいぶん話が脱線してしまいました。注意したい点に立ち返りますと、要は生活を無視した空間作りはポテンシャルがあってもそれを引き出せていない空間になるのでやめておきましょう、ということです。

 

代表的な例を挙げますと、全ての建材と家具を単一の樹種と仕上げで揃える、などでしょうか。ミニマルで洗練された空間になるのは間違いないのですがたとえば家具や床材、柱やドアをホワイトアッシュのオイル仕上げで揃え、テーブルでランチョンマット代わりに使うトレイが欲しくなったとします。良い物を見つけました。サイズとデザインは最高に気に入ったのに樹種がウォルナットだから買えない、1つだけ違う色になるとここまで揃えたものが崩壊してしまう、となります。では一旦トレイは諦めます。どうしようか考えているうちにトレイを敷かずに使ったテーブルが染みだらけになります。完璧な状態だった空間が劣化という減点を受けます。といった具合。

 

家族に花粉症の人でもいたら最悪です。たとえおしゃれなティッシュカバーを使っていたとしてもリビングテーブルの上にティッシュが出しっぱなしなんて!あーイライラする!せっかくおしゃれなカバー付けたんだからティッシュはこのシェルフの中に置いて動かさないで欲しい。あ!TVのリモコンなんてカラフルでダサいんだからチャンネル変えたらすぐ仕舞って!

 

さすがにここまで極端な感情は出てこないかもしれませんし、本当に価値観は人それぞれなので否定はしないですが、誰かの行動に一回一回ももやもやすることが増えたという事は起こるかもしれません。これは大きなお金をかけた新居で手に入れたかった暮らしなのでしょうか。

 

家具は暮らしの道具ですから劣化は致し方ない部分もありますが、避けれるダメージが避けれず結果大きな損失につながるのは悲しいですよね。あまり縛りが強すぎるのは正直なところデメリットが大きいと思います。

 

ですので敢えて色合いや樹種に多少の幅を持たせるということも諦めとは異なる意味合いで意外と大事だったりするのではないかと考えています。

 

ただしpoint4と真逆の事を言っているわけではありません。あくまでもバランス良く、相性良く、ということです。そのバランスと相性の取り方が難しいことも重々承知しています。そこはプロの力も借りるべきだと思います。お家の設計を担当されている方や行きつけの家具屋さんがあればスタッフさんとその辺り、ぜひじっくり話してみてください。意外とネットの見過ぎで視野が硬直していたな、と気づくかもしれません。

 

今日は5点ほど、家具のコーディネートで気を付けたい意外な点をお伝えさせていただきました。

 

あくまでも「インテリアは自由だ!」が前提としてあると思っていますので、こんな考え方もあるんだな、ぐらいの参考にして頂ければ。


次回はいくつか自作してみた家具のご紹介をできればと思っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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